【ヤングケアラーについて】草加市政に対する一般質問(2021年6月議会)

本日で草加市議会6月定例会が終了しました。
6月の定例会では草加市政に対する一般質問を2つのテーマで行いました。

1つ目の『ヤングケアラーについて』の要約を記載します。

埼玉県では、家族を無償で介護する方を支援することについて定めたケアラー条例を全国に先駆けて制定し、県内全ての高校2年生5万5,772人全員を対象とした実態調査を行いました。
回答した4万8,261人のうち4.1%に当たる1,969名が「自分自身がケアラーである」もしくは「過去にそうであった」と回答しており、高校2年生約25人に1名の方がヤングケアラーの可能性があるとの調査結果が出ました。

ヤングケアラーの問題は、本人に自覚がないまま、重い負担がかかったり、学業との両立が難しくなるなど、子ども自身の権利が守られない状態が懸念され、その境遇により将来の夢をあきらめるなど、その後の人生に影響を与えることです。
そのため、草加市として市内のヤングケアラーに対して、実態把握から適切な相談支援を行うことが求められます。

さいたま市教育委員会は、先月5月に家族の介護や世話を日常的に行う18歳未満の子どもについて実態調査を行うと発表し、さいたま市立の中学校や高校などに通う全生徒を対象としたアンケート調査を6月に実施するとのことです。
対象生徒は約3万4,000人で、昨年度末に整備が完了した1人1台のタブレット端末を使い、インターネット上で回答する仕組みです。
アンケートの質問事項は、世話をしている家族の有無や世話の頻度など、家庭や家族についての質問や、学校の出席状況、現在の悩み、相談相手などふだんの生活についての質問など、計69問であり、アンケート結果は教職員やスクールカウンセラーなどの専門家と共有化し、生徒たちの相談環境の整備や心のケアにつなげていくそうです。
また、児童相談所や福祉課など幅広い関係機関との連携を図っていき、併せて子どもたちの相談により対応できるよう、教職員研修も行うとのことです。

この取組は市内のヤングケアラーの生徒数や実情を把握し、関係部門や機関と連携し、適切な相談を行う有効な事例だと思います。
草加市においてもヤングケアラーに対して実態把握を行い、適切な相談支援につなげていくことが必要であると考えています。

<質問>
草加市ではヤングケアラーをどのように定義しているのかお伺いいたします。
<答弁>
草加市では独自に定義はしておりませんが、一般に本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもと言われております。
また、埼玉県では令和2年3月に制定した埼玉県ケアラー支援条例において、高齢、身体上、精神上の障がいまたは疾病により援助を必要とする親族、友人、その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話、その他の援助を提供する者をケアラーとし、そのうち18歳未満の方をヤングケアラーと定義されているところでございます。

<質問>
ヤングケアラー問題に対するこれまでの埼玉県との連携と今後の連携についてお伺いいたします。
<答弁>
ヤングケアラー問題に限定した連携ではございませんが、令和2年11月に草加市が構成に加わっております県南4市まちづくり協議会、福祉・医療専門部会の研修に埼玉県のケアラー支援を担当する職員を講師として派遣いただきまして、埼玉県ケアラー支援条例に関する講演を実施しております。
また、令和2年11月と令和3年2月には埼玉県主催のケアラー支援研修に市の職員が複数参加させていただくなど、埼玉県との連携を進めてまいりました。
今後におきましても、埼玉県とケアラー支援に関する意見交換や情報共有などの連携を図ってまいります。

<質問>
草加市におけるヤングケアラーの実態把握を現状どのように行っているのかお伺いいたします。
また、市内のヤングケアラーの人数を把握されていればお示しください。
<答弁>
ヤングケアラーに限定したものではございませんが、令和2年度の草加市民アンケートの中で、ケアラーを知っているかどうかについてお伺いいたしまして、そのうち「知っている」の割合が17%でございました。
また、令和元年度に実施しました草加市高年者プラン策定のための実態調査においては、居宅介護支援事業者や地域包括支援センターを対象に、また、同年度に実施いたしました草加市障がい福祉に関するアンケートにおいては、障がい福祉サービス提供事業者を対象にケアラーの方からの相談の有無やその内容、その際の対応などについて調査するなど、ケアラーに関する実態の把握に努めているところでございます。
なお、草加市内小・中学校の児童・生徒におけるヤングケアラーの実態につきましても、学校の管理職の方からの聞き取りや要保護児童対策地域協議会での情報共有などにより、支援が必要な児童・生徒が一定数いることを把握しているところでございます。

<質問>
介護保険のケアプラン作成時や障がい児・者に対する相談支援において、ヤングケアラーの実態把握をすることができないのかお伺いいたします。
<答弁>
介護保険事業者や障がい者相談支援事業者などがケアプランや支援計画の作成をする際に、利用者本人や家族などから聞き取りをしながら、利用者の身体状況や課題などを把握するアセスメントを行いますが、そのような場で介護者がヤングケアラーであることが分かる場合もございます。
今後はヤングケアラーを含めたケアラーをより意識したアセスメントを行うとともに、地域ケア会議や自立支援協議会などの場で情報共有などの連携を図るなど、さらなるケアラーの実態把握につながる体制等について検討を進めてまいりたいと考えております。

<質問>
草加市内小・中学校に通う生徒・児童のヤングケアラーに対して、適切な相談や支援につながるよう、さいたま市教育委員会のように市独自のアンケートを実施し、実態把握を行うべきだと思いますが、草加市の見解をお伺いいたします。
<答弁>
個に応じた適切な支援につなげるためには、ヤングケアラーが疑われる児童・生徒の実態把握は大変重要であると考えております。
今後、国や県、他市の取組について十分研究した上で、アンケートによる調査も含めて実態把握の内容や方法について検討してまいります。

<質問>
教育現場において、先生がヤングケアラーの児童・生徒に対し、適切な支援につなげていく取組が求められますが、教育現場における今後の取組方針をお伺いいたします。
<答弁>
ヤングケアラーへの支援のためには、まずは児童・生徒に直接関わっております担任などの教職員がヤングケアラーの背景や課題、支援方法等について理解することが必要だと考えております。
そのために教職員を対象に研修を実施し、その内容を共有できるようにしてまいります。
今後もスクールソーシャルワーカーを活用し、関係機関の連携の下、適切な支援につなげる体制づくりをさらに進めてまいります。

<質問>
ヤングケアラー問題における草加市内小・中学校のスクールソーシャルワーカーの役割についてお伺いいたします。
<答弁>
把握した情報を基に実際に家庭訪問をするなどして、児童・生徒の教育機会の確保の状況や健康状態、生活環境等を確認するとともに、本人や保護者からの相談に応じ、適切な支援のため、個々の状況により福祉や子育てなどの関係機関につなげております。

<質問>
実態把握だけでなく、ヤングケアラーに対する適切な相談支援の体制構築が必要です。
神戸市は20代も含めた子ども・若者ケアラーを対象とした相談窓口を6月1日に開設し、相談員として社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の資格を持つ職員計3人を配置いたしました。
神戸市によると、全国初の取組であり、これまで専用の相談先はなく、適切な手助けが受けられなかったり、相談自体を控えていたりしたケースがあると見られ、新設の窓口を通じて必要なサポートにつなげていくそうです。
草加市における現状のヤングケアラーの相談窓口、支援体制がどのようになっているのかお伺いいたします。
<答弁>
通っている学校の先生やスクールソーシャルワーカーが窓口になり相談を受けることができまして、また、子育て支援センターや草加市社会福祉協議会に委託をしておりますコミュニティソーシャルワーカーにおいても相談を受けることができる状況となっております。
また、子育て支援センターにおけるそうか子育て応援・情報サイトぼっくるんでは、インターネットによる相談も受け付けております。
支援体制につきましては、相談を受けた窓口がそれぞれの相談内容に応じて必要な支援が届くよう、庁内の関係所管や関係機関において連携した対応を行っているところでございます。

<質問>
ヤングケアラーの相談窓口を明確にするため、専門相談員による相談窓口を開設し、子どもたちの気持ちを十分尊重した上で、適切な支援に確実につなげていく体制が必要だと思いますが、草加市の見解をお伺いいたします。
<答弁>
現在、ヤングケアラーの方を含め、それぞれの窓口で受けた相談を、関係機関が連携することによって支援につながるよう、包括的な相談支援の体制整備について検討を進めているところでございます。
また、現在の相談窓口について、より多くの方に知ってもらうため、分かりやすい周知にも努めてまいりたいと考えてございます。

<要望>
ヤングケアラーの定義での御答弁で、年齢は18歳未満ということでしたが、大学生なども含めて柔軟にヤングケアラーとして対応していただくよう要望いたします。
また、実態把握についての御答弁の中で、ヤングケアラーが疑われる児童・生徒の実態把握は大変重要であり、今後、実態把握の内容や方法については検討していくとのことでした。
ぜひ実態把握を行っていただき、適切な支援につなげていただくよう要望いたします。
また、神戸市のようにヤングケアラーの方が相談しやすい窓口の設置についても、設置に向けて前向きに御検討していただくよう要望します。

草加市議会議員
菊地慶太(きくちけいた)