草加市政に対する一般質問【フードバンクについて】2020年9月議会

昨日で草加市議会9月定例議会(9月3日から9月28日)が終了しました。
9月の定例議会では草加市政に対する一般質問を1つのテーマに絞り行いました。

『フードバンクについて』の要約版を記載します。

<フードバンクの概要説明と必要性>
フードバンクとは、食品会社等が製造した規格外の商品や包装の印字ミスなど、商品の品質には問題がないにもかかわらず通常の販売が困難になった食品や、家庭で余っている未利用食品などを寄附していただき、様々な事情により食料支援を必要とする団体や個人に無償で食料を提供する活動のことです。

フードバンクは、日本では2000年以降に設立されたと言われており、フードバンクの必要性が近年高まっています。
その背景の一つとして貧困問題です。
日本の総体的貧困率は、2018年で15.4%であり、6~7人に1人は総体的貧困であり、ひとり親世帯では48.1%と、約半数世帯が総体的貧困の状態です。
今年の9月2日の読売新聞の記事では、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、シングルマザーの3割超の方が、自分が感染すれば同居する子どもや家族の世話に支障が出ることから、自発的に休職、または退職したというNPO法人の調査結果が掲載されていました。
自助努力では解決が難しい状況下で、フードバンクを通じた食のセーフティネットの期待が高まっています。

フードバンクの必要性が高まっている背景の2つ目に、食品ロスです。
日本では食べられるのに捨てられている食品ロスの量は、年間で約612万tと推計されており、廃棄される食料品をフードバンクに寄附いただくことで食品ロスの削減につながります。

必要性が高まっている背景の3つ目に、災害時においての食料備蓄先です。
フードバンクは、ふだんから食料品の受け入れ、保管、配布のノウハウ、機能を有しており、災害時においてもその機能を果たすことで有効な食料備蓄先の一つとなります。
そのような背景から、フードバンクの取組に力を入れている自治体が増えています。

<自治体によるフードバンクの取組み事例の紹介>
1つ事例を申し上げますと、群馬県前橋市では、平成29年6月1日にまえばしフードバンク事業を開始しました。
この事業では、群馬県内でフードバンクを運営しているNPO法人に業務委託を行い、市内に拠点となるフードバンクまえばしを設置し、個人や企業から無償で食料品を寄附していただき、困窮世帯、高齢世帯、ひとり親世帯、障がい者世帯等で、生活に困窮し食料支援を必要とする方々に対して食料支援を行っています。
平成30年度の支援実績は、個人への支援は461件、団体への支援は11件となっており、食のセーフティネットとしての機能が果たされております。
食品ロス削減の観点ですと、平成30年度の食料品の寄附受け入れの実績は、企業からの受け入れ分が9,127㎏、個人からの受け入れ分が3,569㎏となっており、多くの食料品が集まり、食品ロスの削減にもつながっています。
また、まえばしフードバンク事業を行ったことで、これまで生活自立相談センターと接点がなかった困窮者の方が食料支援だけでも受けたいと希望するようになり、新たな支援対象者の掘り起こしにつなげることができ、早期段階における自立支援が可能になったそうです。
また、地域のこども食堂や無料学習塾等を運営する団体に対し、食料や調味料、お菓子、飲料などを提供することにより、子どもの居場所づくりにも貢献しています。
さらに、フードバンク事業が少しずつ市民に浸透してきており、個人からの食品提供が増加するとともに、ボランティアとして食料配布等に携わる方の参加も増加し、支え合いの地域づくりの構築にもつながっているとのことです。

草加市においても、生活に困窮している方々への食のセーフティネット、食品ロスの削減、防災時の食料備蓄先などの観点からフードバンクの取組みは重要であると思い、質問しました。

<質問>
生活困難者に対するセーフティネットの観点から、草加市におけるフードバンクの現状の取組やフードバンクに類する活動はあるのか?
<答弁>
フードバンクとは、食品の収集、保管、配布までの一連の活動全般を行い、NPO法人等の民間団体が活動していることが多い。
具体的には、食品関係の企業や農家などが取り扱う商品や農産物のうち規格外品や包装の印字ミスなどにより、食品自体には問題がないにもかかわらず通常の販売や出荷が困難になったものを引き取り、倉庫等を借り上げた上で、食品の安全性を確保するため気温や湿度、期限に配慮して衛生的に保管し、多様な食品を提供先の事情を勘案して適切に振り分け、賞味、消費期限内に福祉施設や生活困窮世帯などに無償で提供する活動である。
類する活動としては、家庭で余剰となった食品を学校や職場に持ちより、それらをまとめて福祉施設や困窮世帯に素早く提供するフードドライブがある。
草加市が生活困窮により食料がないという御相談をお受けした際に、支援が必要となった場合は、生活困窮に係る自立相談支援窓口である「まるごとサポートSOKA」から草加市社会福祉協議会へ支援依頼を行い、同協議会の自主事業として平成29年11月から実施しているフードドライブを活用し相談者へ迅速に食料を提供することで、就労支援やその他の日常生活上の複合的な課題へのさらなる支援が可能となり、生活状況の改善がなされ、相談者から感謝の声も多数いただいている状況である。
なお、令和元年度の年間実績としては、相談者70人に延べ112回の食料支援を実施した。
そのほかにも、市内には、子育て世帯に対しての食料の支援を実施している団体もあると伺っている。

<質問>
草加市民が利用できるフードバンクがあるのか?
<答弁>
草加市が相談を受けた際に現在活用しているところは、NPO法人フードバンク埼玉がある。
そのほかにも埼玉県内では、フードバンクの活動をしている主な団体は、認定NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン、NPO法人フードバンクネット西埼玉がある。

<質問>
生活困難者に対するセーフティネットの観点でのフードバンクの有効性について、草加市の認識は?
<答弁>
食料提供を希望する個人や民間企業が連携し、食料がないという相談者の生活を一時的に支えるといった点で有効であると考えている。
草加市では、フードバンクを事業として実施していないが、フードドライブ等を活用し、食べ物がないといった緊急性の高い相談にも対応できるよう、庁内関係各課やまるごとサポートSOKA、草加市社会福祉協議会、その他関係機関とより一層緊密に連携し、食料提供を必要とする方へ迅速な支援が実施できるよう努めていく。

<質問>
災害時における食料備蓄としての観点から、草加市におけるフードバンクの現状の取組とフードバンクの有効性の認識は?
<答弁>
防災備蓄食料については、主に小・中学校などの指定避難所で備蓄をしている。
このうち賞味期限が近くなったものは、市内小・中学校の給食や放課後児童クラブ、保育園等の市の事業で活用を図っているところで、地域の防災訓練でも活用いただいている。
さらに、これらの機会に活用できなかったものについては、NPO法人フードバンク埼玉と合意書を取り交わしている草加市社会福祉協議会を通じて提供させていただいている。
なお、この合意書では、被災地における被災者への食料提供に関する合意も取り交わされていることから、これまでの食品ロスの観点に立った消費期限の近い備蓄食料の提供先としての活用のみならず、災害対応時においては有効な食料備蓄先の一つになるものと考えている。
災害時における食料などの物資調達の取組に関しましては、これまでの大規模災害における教訓を踏まえ、国及び都道府県において調達から集積、輸送までの一連の流れを一元的に処理するための仕組みづくりを進めている。
今後は、国などの取組と整合を図りながら、国や県からの支援物資のみならず、災害協定を締結しております事業者やフードバンクの皆様からも必要とする食料などが迅速に調達できますよう、調整を進めていく。

<質問>
食品ロス削減の観点でのフードバンクの有効性について、草加市の認識は?
<答弁>
食品ロスの発生量につきまして、国では2017年度、平成29年度の推計値として年間約612万tと示されており、草加市については、令和元年度に実施をした食品ロス実態調査で、1年間に市民1人当たり約47㎏、これを1日辺りに換算すると、約130gと、これは毎日お茶碗1杯分の食材が、まだ食べられるのに捨てられてしまっているという調査結果であった。
フードバンク活動につきましては、主に食品関連企業で商品として販売することが困難となった食品が、廃棄されることなく必要な方へ提供されており、廃棄物減量の観点からも食品ロスの削減につながるものである。
今後においては、近隣自治体を参考に、活動団体をホームページで紹介するなど、関係部局と情報を共有しながら、本市での普及啓発に努めていく。

<質問>
生活に困窮している方々に対して、フードバンクやフードバンクに類する団体を通じて安定的な食料支援やより多くの方々へ支援できるよう、フードバンク等との情報連携及びまだ連携していないフードバンクとの連携を強化すべきであると思うが、本市の見解は?
<答弁>
現在まるごとサポートSOKAに相談に来られた方については、必要に応じて関係機関や民間団体を交えて会議や訪問を実施しながら情報連携しているところである。
また、草加市では、関係機関や民間団体の各種会合等に出席し、まるごとサポートSOKAの案内を行っている。
今後においても、フードバンク等を含めた関係機関などにおいて生活にお困りの方から相談を受けた際に、まるごとサポートSOKAにいち早くつなげていただけるよう、顔の見える関係を構築し、情報連携しやすい環境を整備していく。
また、連携していないフードバンクとの連携強化については、まるごとサポートSOKAにおいて必要に応じて関係機関や民間団体との情報連携をしながら支援している一方で、生活にお困りのひとり親世帯や単身の高齢者など各福祉制度に基づく相談窓口に相談できていない方、支援が必要であっても既存の福祉サービスの対象とならない方、地域社会から孤立している方など、支援の手が届かない方々を把握し、支援につなげていくことが課題となっている。
このような状況に対応するためには、本市が中心となって庁内関係各課やまるごとサポートSOKA、草加市社会福祉協議会、その他関係機関とのさらなる連携強化をしていくことが重要であると考えている。
今後におきましては、地域の社会資源を丁寧に把握して、まだ連携していないフードバンク等の生活困窮者支援に係る関係機関や民間団体とも顔の見える関係を構築し、連携強化に努めていく。

<要望>。
フードバンクについては、生活困窮者への食料提供、災害対応時の食料備蓄、食品ロス削減の観点から、草加市が有効性を感じていることが分かった。
以下を要望する。
①生活困窮者支援を行っている機関や団体と連携を強化していただき、生活に困窮している方々へのサポートを行っていただくこと。
②災害時の食料備蓄としての観点での御答弁で、災害協定を締結している事業者やフードバンクの皆様方からも必要とする食料などが迅速に調達できるよう調整を進めていくとのことでしたので、ぜひ、いつ発生するか分からない災害時に備えて早急に調整を進めていくこと。
③食品ロス削減の観点での御答弁で、廃棄物減量の観点で食品ロスの削減につながると理解し、今後団体活動をホームページで紹介するなど、草加市で普及啓発に努めていきたいとのことでしたので、ぜひ、紹介ページを作成し、普及啓発活動に努めていくこと。