ペリー幼稚園プログラム(幼児教育の重要性)

教育経済学者の中室牧子氏の「学力の経済学」という本をご存じでしょうか?

こちらの本で、幼児教育の重要性についてデータを活用して説明してますのでご紹介します。

1960年代から開始し、現在も追跡調査が行われているミシガン州のペリー幼稚園で
実施された実験結果がとても興味深いです。

「ペリー幼稚園プログラム」と呼ばれる就学前教育プログラムは、
低所得のアフリカ系米国人の3~4歳の子どもたちに「質の高い就学前教育」を
提供することを目的に行われました。

このプログラムでは、以下のような手厚い就学前プログラムを提供しました。
・幼稚園の戦線は、修士号以上の学位を持つ児童心理学等の専門家に限定
・子ども6人を先生1人が担当するという少人数制
・午前中に約2.5時間の読み聞かせや歌などのレッスンを週に5日、2年間受講
・1週間につき、1.5時間の家庭訪問

このプログラムは、入園資格のある子どもたちのうち、ランダムに選ばれた
58人の入園許可をされた子ども(処置群)と、65人の入園を許可されなかった子ども(対照群)を
比較するという実験によって、効果測定を行いました。

その後、40年にわたる追跡調査を行った結果、プログラムを受けた人とそうでない人に違いがみられました。

入学時点のIQが高いだけでなく、その後の人生において、学歴が高く、
雇用や経済的な環境が安定しており、反社会的な行為が低かったと紹介されています。

就学前の教育が長期にわたって持続するような効果があるということです。

雇用や生活保護の受給、逮捕率にも影響がありますので、教育を受けた本人のみならず、
社会全体にとってもよい影響をもたらすことになります。

こうした社会全体への好影響を「社会収益率」として推計した場合、
年率7~10%にも上ると言われています。
社会収益率が7~10%にも上るということは、4歳の時に投資した100円が、
65歳の時に6,000~3万円ほどになって社会に還元されているということです。

将来のために、幼児教育が非常に重要であり、強化していく必要があると考えています。