草加市政に対する一般質問【ふるさと納税について】2020年12月議会

昨日で草加市議会12月定例議会(11月26日~12月10日)が終了しました。
12月の定例議会では草加市政に対する一般質問を2つのテーマで行いました。

1つ目の「ふるさと納税について」の内容を記載します。

全国のふるさと納税の利用状況は、5年前の平成27年度と令和元年度と比較すると、ふるさと納税の寄附額と寄附件数ともに約3倍となっており、全国的にふるさと納税の利用が拡大しています。
草加市のふるさと納税の状況は、5年前の平成27年度の寄附受入額が4,597万円で、草加市民がほかの自治体のふるさと納税を利用したことによる控除額、この控除額とは翌年度の市民税の減収額分のことですが、9,691万9,000円です。
直近の令和元年度においては寄附受入額が2,579万5,000円で、控除額が3億5,812万1,000円の見込みとなっています。
全国的にふるさと納税の利用が5年前に比べると約3倍に増えていますので、草加市でも市民税の減収額分に当たる控除額が増えていることは理解できるのですが、寄附受入額は5年前と比べると約44%も減少しています。

その結果、令和元年度においては、寄附受入額から控除額を差し引いた差額は過去最高額のマイナス3億3,232万6,000円となっており、本来入るはずの市民税が失われ、自治体収入が減る事態が起きております。

来年度の財政状況は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、より厳しくなることが想定されることから、ふるさと納税において寄附受入額を増やす取組を行うべきであります。

また寄附受入額を増やすことは自治体の知恵や工夫によって増やせるものだと思っています。
例えば、ふるさと納税の寄附受入額を増やす取組として、新規の寄附者を増やすことが考えられます。
新規の寄附者を増やすためには、全国の自治体の中から草加市のふるさと納税を知っていただく必要があります。

<質問> 
現状、草加市ではふるさと納税の窓口は、インターネット上では一つのポータルサイトのみの利用となっています。
多くの方々に知っていただくためには複数のポータルサイトを利用し、より多くの方々の目に触れるようにすべきです。
今後新たな寄附者を増やすために、複数のポータルサイトを利用することについて、草加市の見解を伺いいたします。

<答弁>
草加市においては、ふるさと納税の窓口となるポータルサイトはふるさとチョイスのみとなっておりますが、現在ほかにも楽天ふるさと納税やさとふるなど多くのサイトがございます。
複数のポータルサイトを利用する場合、事業者への手数料等が発生しますが、寄附者が増加することにより寄附金額の増額も見込まれますことから、収支を分析しつつ、返礼事業担当部局と協議、調整を行いながら、他のポータルサイトの利用についても検討してまいります。

<質問>
ふるさと納税の寄附額を増やすための取組の2点目に、毎年寄附いただけるリピーターを確保することが考えられます。
好事例をお伝えしますと、令和元年度のふるさと納税の寄附受入額が全国の村で1位である千葉県長生村では、返礼品は地場産の米やそばなど目新しさはありませんが、5万円以上の寄附者を対象に、村長自らが電話で感謝を伝え、また村の自然の豊かさをPRしているそうです。村長が電話をかけ始めた平成28年度に初めて寄附受入額が1億円を超え、毎年度寄附受入額が増え、令和元年度は7億9,250万円まで増えたそうです。
村の調査では、リピート率は75%だそうです。
ほかの自治体でもリピーターの確保のため、寄附者に対してお礼状の送付だけではなく、寄附金の活用に共感していただくために、資金使途の報告書や今年度の寄附の御案内チラシなどを送付し、寄附者と継続的なつながりを持っている事例もあります。

草加市においても、ふるさと納税に寄附いただけた方々に対し、継続的に寄附いただけるようなリピート施策を行うべきであると思いますが、草加市の見解をお伺いいたします。

<答弁>
草加市においては、御寄附をいただいた方へ寄附受領書を送付する際に、市長名のお礼状を同封しておりますが、その際に、草加市の魅力を知っていただくために、国指定名勝、おくのほそ道の風景地草加松原の写真や本市へのアクセスを掲載するなど、草加市に興味を持っていただくことによるリピートを促す取組を行っております。
また、いただきました御寄附につきましては、寄附者の意向に沿った使途に活用していることを説明するため、草加市のホームページにおいて寄附金を活用した事業について情報公開を行っております。
寄附者との継続的なつながりを持つためのリピート施策の一つとしまして、使途の報告書や御案内の郵送について、主に郵送料などの経費が追加で必要となることから、今後の寄附の動向を注視し、他の自治体の状況を踏まえ、様々な方策について調査研究してまいります

<質問>
また令和元年度の草加市に対してふるさと納税をしていただいた方々のリピート率は幾らだったのかお伺いいたします。

<答弁>
平成30年度に御寄附いただいた方が令和元年度に引き続き寄附をいただいた件数を基に算出しましたところ、18.2%となっております

<質問>
ふるさと納税の寄附額を増やすための取組の3点目に、ふるさと納税におけるクラウドファンディングの活用が考えられます。
ふるさと納税で資金使途、目標募集額、募集期間を明確にし、寄附者に対して資金使途の共感をいただき、寄附を集めるふるさと納税におけるクラウドファンディングを活用している自治体が増えています。

神奈川県厚木市では、厚木市立病院が災害派遣医療チーム、DMATの出動時に必要な車両を購入したいということで、今年度にふるさと納税におけるクラウドファンディングを活用し、目標金額の680万円を上回る募集金額を集めています。
募集ページに記載されている文章を紹介いたしますと、公立病院は、厳しい経営状況であるほか、昨今の新型コロナウイルスの影響により収益は著しく減少し、老朽化した車両の更新に係る財源を捻出することはできない。今後、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が心配される中で、クラウドファンディングを活用し、DMATが安心して災害などの派遣対応ができるように、新たな車両の整備を目指すと記載されていました。
公立病院の経営状況や行政の財源が厳しい中、ふるさと納税におけるクラウドファンディングをうまく活用した事例だと思います。

このふるさと納税におけるクラウドファンディングは、寄附の使途に共感が得られる事業かどうかがポイントになると思います。
草加市の数多くある事業が全て共感を得られない事業ということはないのではないでしょうか。
現状、草加市ではふるさと納税におけるクラウドファンディングに取り組んでいません。
予算づけされている事業に対して実施すれば、目標募集金額の満額が集まらなかったとしても、当初の予算で滞りなく事業は実施できます。
寄附で集めた金額分は財政負担を減らすことができますので、ぜひ草加市でもふるさと納税におけるクラウドファンディングに取り組むべきであります。

ふるさと納税を所管している総合政策部が主体となって、各部署に対してふるさと納税におけるクラウドファンディングの庁内説明会の実施や、各部署から該当する可能性のある事業の取りまとめを行うなど仕組みづくりが必要だと思いますが、草加市の見解をお伺いいたします。

<答弁>
現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により税収の大幅な減少が見込まれるという過去に例を見ない厳しい財政状況に直面しており、広く共感を得られる事業に対し寄附金を募っていくことは有効な財源確保の手法であると考えております。
一方で、寄附を前提とした事業は、必要な寄附が集まらなかった場合、事業費の一部、または相当部分について市の財源から充当せざるを得ず、財政負担が大きくなる場合も想定されることから、クラウドファンディングの対象とする事業や内容につきましては、予算措置されている事業に充当するなど慎重な検討も必要であるものと考えております。
なお、草加市がポータルサイトとして利用しておりますふるさとチョイスでは、以前クラウドファンディングを行う場合には、最低利用金額として10万円が必要で、導入へのマイナス面となっていましたが、今年度から廃止されたことで、以前と比べ導入しやすい環境が整ってきております。
クラウドファンディングを実施する際には、各部局、室と連携し、可能性のある事業の取りまとめや説明会の実施を含め、効率的かつ効果的な仕組みづくりを検討してまいります。

<質問>
草加市立病院でもふるさと納税におけるクラウドファンディングを実施することは、草加市のふるさと納税の制度上で可能なのかお伺いいたします。

<答弁>
草加市立病院など地方公営企業法を適用している事業に対するふるさと納税につきましては、総務省の定める繰り出し基準や公営企業の会計区分などに市及び企業会計側で確認が必要な内容がございますので、調査研究を進めてまいります。

<要望>
先ほどお伝えしたとおり、この5年で全国のふるさと納税の寄附額は3倍になっているにもかかわらず、草加市のふるさと納税の寄附受入額は減少しています。
寄附受入額は自治体の知恵や工夫で増やすことができ、寄附受入額を増やすことができれば財政負担の軽減になります。
御答弁いただきました寄附受入額を増やすための複数のポータルサイトの利用やリピート率の向上の取組、そしてふるさと納税におけるクラウドファンディングの実施については、取組の改善余地がありますので、早期に取り組んでいただくよう要望します。

草加市議会議員
菊地慶太